講演会と大学院生の就職祝い
12月5日(金)、午後3時半より、多摩キャンパス内の小ホールにおいて、俳優の宇梶剛士さんの講演会があったので聴きに行った。テーマが学生向きの講演であるということ以外は、どのような話しをするのか解らなかったが、宇梶さんの母親がアイヌの出身でありアイヌ民族の差別是正のための様々な運動をしている人なので、どのような話をするのか興味があった。
講演は、アイヌ民族についての歴史的な話しから始まり、自らの生い立ちを述べることあたりからが中心であった。少年期の親との葛藤と高校時代の野球部の経験で味あったいじめを経験して以後の話しが興味深かった。
宇梶少年は、高校一年の時に野球部に入って将来の成長株としてプロのスカウトにも注目されるほどであった。だが上級生から1年生に対する長期間にわたるリンチが毎日のように続き、いたたまれず遂に監督や部長に報告したが結局、上級生による暴行の事実が社会的に暴露されることを懸念した周囲の大人たちによって訴えが聞きいれられなかった。
そんなことがあってついには暴力事件を起こし、高校中退となり、その後は次第に暴走族の仲間に引き込まれていく。いつのまにか、生来の長身、屈強な体躯の故か、暴走族グループのリーダーとして喧嘩、抗争事件の中心にいた。ある時、暴力抗争事件の首謀者として警察のご用になった。少年院に送られ、もんもんとした日々を重ねる中、母親から差し入れられたチャップリンの自伝を読んだ。
当時の宇梶さんは、少年院に送られ心が荒んでいたけれども、極貧の生活から身を起こし、笑いともに社会を風刺し、弱者に対して常に優しく希望をもたらすチャップリンの生き方に直感的な衝撃を受け、自分のこれまでの過ちに気がつき、一人の部屋の中で耳が赤くなるほど自己を恥じ入ったそうだ。こうしたチャップリンの生き方に触発されて、俳優の道を選ぶことになったという話であった。
宇梶少年は、これまで大人たちを憎み、恨みに思っていた自分がかわいそうだということに気がついた。結局、他人を憎み恨むことにより自分はその恨み酷い人間にとらわれていることになり、自分を見失うことに他ならないのだということを悟った。他人を憎んだり、羨んだりすることは、自分がその他人に支配されていることになる。言葉の細部は、失念したが、要するに、それでは駄目だということが分かった、だから自分をもっと大切しなくてはいけないということを強調されていたように思われる。
宇梶さんの講演の主題は、弱い者への共感を原点としながら、自分が何者であるかを常に見つめることが大切だということに集約される。それは、青少年期の社会への反抗の経験から自らを見つめ直すことにより得られた哲学なのであろう。またその姿勢は、自らがアイヌの血を受け継いでいることと、どこかで繋がっているようであった。
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そんな感じの講演を聴いた後、夜は、博士課程の大学院生の就職祝いに出 席した。京王線の聖蹟桜ヶ丘駅近くのイタリア料理店で1次会の後、Stand by Meという知る人ぞ知る有 名店での2次会。当夜は12月の金曜日の夜ということで、おじさんバンドによるクラリネットとピアノの渋いライブ・セッションで盛り上がっていました。またトランプ・マジックと気功を得意とする心理療法士さんのパフォーマンスを目前で披露され、幻惑されていたところ、アリアの歌声とピアノ演奏が響き渡る中、主賓はさておいて宴は最高潮に盛り上がっていったのである。
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